格差社会という言葉を聞くようになってから、何年になるだろう。

我々が誇りとしている(勝ち取った結果ではないにせよ)自由民主主義社会においても、生まれた家の資産、所得によって格差が生じているし、格差は格差を生むという悪循環も報告されている。

もちろん、政府はこれを見過ごしているわけではなく、ヨーロッパ諸国を参考に、社会保障、社会福祉を充実させようとしているが、根本的な解決には至っていない。

こうした状況を打開する手段として、世界中から注目が集まっているのがBIの導入である。現にフィンランド、オランダ、カナダの一部でBIが新しい社会保障として機能し得るか、そしてBIの導入によって生産性やモチベーションがどのように変化し得るを確かめる試験がなされているようだ。

しかし、物事には必ず賛否両論があって、BIが導入されると、3Kの仕事(危険、きつい、きたない)をする人がなくなると具体的な例をあげて反対する人もいる。もちろん、BIの制度的懸念の第一歩は財源問題で、これを解決しないことには前に進むことはできないが、BIは民主主義社会における「社会正義」を実現するために有効な制度であると20世紀の偉大な政治学者が述べている。

それでは、日本でこの制度を取り入れるとしたら、どのような方法が考えられるだろうか。

私見を述べると、EUのように一部の地域での試験に加えて、年代別というのはどうであろうか。例えば年金受給者は、若い頃から老後の計画を立てて今日を迎えたので、BIの導入は馴染まないし、混乱を起こすだろう。そこで、0歳から60歳までの若い人たちに、年限をきって制度の実践を試みる。今の若い人たちは終身雇用を望んでいないし、年金にも期待していない働き方を望んでいる人が多いので、案外受け入れられるかもしれない。また、人口が減少している2つの県と増加している2つの県をそれぞれ比較してみるのも良いであろう。

いずれにしても、今後少子高齢化と人口減少が加速度的に進んでいく我が国においては、経済構造と社会構造を根本から立て直さなければならない局面を迎えているのは、言をまたないであろう。そうした流れの中で、BIは前向きに検討されるべき施策であると筆者は述べているが、私も同感である。


▼AIとBIはいかに人間を変えるのか▼